レイアウトに導かれる高級感というイメージ
では、イメージを誘導するためにはどうすればいいのでしょう。
「高級そうな写真を使う」
「高級という言葉を使う」
イメージは抽象的なものですし、直接的な言葉がイメージを誘導するとは限りません。
印象でしかないイメージですから、いかに操作するかというのが一番重要なポイントとなるのです。
余白がイメージを決定づける
では、高級感とはどんなイメージでしょう。
その答えは、インテリアデザインなどの空間イメージに存在します。
「成金趣味」という言葉があります。
数億円しそうな絵画のならぶ豪邸の一室。
家具や調度品も高級なのに、なぜか雑然とした印象しか与えない。
あなたは、「トラの敷物がある部屋」高級だと感じますか?
成金趣味という言葉が教えてくれるのは、高そうなものは手当たり次第に手に入れるという余裕の無さ。
まさに高級というイメージの対極にあるとさえいえます。
回数券のレイアウトであれば、余白が十分にあることが高級感演出の第一歩。
「ゴチャゴチャ」という言葉こそが、高級感を台無しにするということを認識しましょう。
▼ 余白とは他とのバランスのこと
余白を取るという時、ついやってしまうパターンが意味もなく広いスペースを紙面に作ってしまうこと。
しかし、右に大きくスペースを作ったために左がギュウギュウ詰めのなったのではなんの意味もありません。
全体のバランスを第一に考えてから余白を取るようにしましょう。
▼ 必要な情報のみが生む余白
小さな回数券の場合は、余白をたくさんとってしまうと必要な注意事項の半分も書けないのではと思っていませんか。
でも、あなたが書こうとしていることは本当に必要な情報ですか。
また、情報というものは端的にまとめた方が読みやすくなり、それにより必要なことがしっかり伝わるという副作用も発生します。
必要な情報だけをわかりやすく書く。
そんなことに気を配るだけで、十分な余白を生み出してくれるんです。
▼ ゆったり読むことのできるバランス
適切な位置に必要な情報が配置されれば、読むという行為が格段に楽になります。
情報が固まりすぎてどれを読めがいいのかがわかったり、小さな回数券の場合は、文字を小さくしすぎて読むこと自体が大変になってしまうこともザラ。
余裕のあるレイアウトは、高級感だけでなく可読性もアップしてくれるんです。
ウェイトを意識してフォントを選ぶ
フォント(文字)には、形や大きさ以外にウェイトと呼ばれる、文字の太さの種類があります。
高級感の演出には、このウェイトも重要な役割を担っています。
▼ フォントの印象は太さで大きく変わる
論より証拠。
これだけウエイトが違えば、とても同じフォントとは思いないのではないですか。
このことは、ウェイトを変えるだけでも多様な演出ができるということを教えてくれています。
▼ シャープな印象を与える太さ
では、高級感というイメージにはどの程度の太さのフォントが適しているのでしょう。
これは、たのデザイン要素とも関係してくるので一概にはいえませんが、そこに一定の法則は存在します。
それが「やや細め」という太さ。
なんとも抽象的ではありますが、細すぎると弱々しイメージになってしまいますから、ある程度の太さが必要なのは確か。
とはいえ、太すぎるのがダメだということになれば、全体のバランスを考慮して、イメージする太さよりも一段階だけ細いウェイトにするのが、高級感の演出の第一歩といえるのではないでしょうか。
色によりレイアウトのイメージが変わる
色による情報は、人が情報を得るときの80%を占めるとまで言われています。
つまり、色によりデザインのイメージが大きく左右されるのは間違いなことなのです。
▼ 原色はNG
色がイメージを大きく左右する要素であるならば、その色の中でも強い色はもっとも大きくイメージを左右するといえます。だとすると、原色(赤、青、緑)を使ってしまえばそれだけでイメージが大きく誘導されてしまいかねないともいえます。
高級感をイメージさせる場合、原色は毒薬ともなりかねないということです。
▼ 色を統一する
通常、補色や反対色を使って印象的なデザインするのはの基本といえますが、高級感を演出したいときには、色の組み合わせに注意を払い、色による印象が強くなり過ぎないようにする必要があります。
そのためにも、色の統一感を重視し、見る人のイメージをコントロールする必要があるのです。
▼ 色の組み合わせにはパターンがある
アースカラーというのをご存知でしょうか。
このアースカラーにかぎらず、色の持つイメージを特定の言葉で表現された色の組み合わせは幾つもあり、この組み合わせをしっかり理解していれば、その時に感じてほしい高級感へと、イメージを誘導することが可能です。
高級感の基本は、「出しゃばらないこと」。
ゆとりのあるデザインを心がけましょう。